映画の見方

映画の見方といっても、それは技術的な批評論とかということではなく、映画を観るときの姿勢というか、スタンスというか、私なりの見方があります。

映画を観ようとする時、多くの人はその映画の情報をある程度得てから、その映画を観ようとすると思いますが、もちろん映画を期待して観るということもありますが、期待して観るということは、どうしても観る時に構えてしまうことになります。

例えば、高名な映画賞を獲得した映画など、どうしても期待してしまいがちです。
それはそれで仕方がありませんが、期待して観ることである程度先入観が先行してしまい、ストーリーを追ってしまうようなことがあります。

だからどうしても、なぜこの映画が〇〇賞を取ったのかという部分に意識がいってしまいます。
そうすると、フラットな心持で映画を観るということが、難しくなります。

単純に言えば辛口な評論家のように映画を観るということです。

映画評を生業とする人ならそれでいいのかもしれませんが、私のような一映画ファンは、そんなふうに映画を観ることは必要ないのです。

私が考える映画の見方で最も良いと思うのは、全く何も期待しないで映画を観るというスタンスです。
もっと言えば、眠くなったら寝てしまうぐらいの気持ちで映画を観ることです。

実際、半ばうつろな意識で映画を観ている時があります。
だから、ストーリーも追えない時もありますが、良い映画に出会った時は、そんな状況でもどんどんと引き込まれていくのです。

ストーリーはわからなくても、その一つ一つの画面(映像)が強烈に心を捉えていくのです。なんだなんだと思ううちに、その映画の世界に引き込まれていきます。

だから、映画が終わったときは、強烈な心象だけが残るという体験ができます。
そうなったら、もう負けです。

もう一度、映画を観るしかなくなります。
その時は、あらゆる細部を見逃すまいと、画面に対峙する気持ちで映画を観ることになります。
初めからそうしてみればいいではないかと、言われるかもしれませんが、やはり平常心で映画を観ることの楽しさを味わうためには、こちらとしても映画の熱量に対峙するための距離感「そんなに期待してるわけではないよ」という姿勢が必要と思うのです。

でも、内心はその都度期待しているわけで、言ってみればそれば、若いころの異性との出会いと似ているなと思うのです。