ガッジョデーロ(Gadjo Dilo)

監督トニー・ガトリフ、フランス・ルーマニアの共同制作により1999年に公開された作品。

とにかく良い映画だ。 ストーリー、俳優、音楽全てが良い。

バックパッカーの青年が凍てついた田舎道を歩いていく。女たちを乗せた幌馬車が追い抜いてゆく。男は声をかけるが、言葉はまったく通じない、女たちはからかい通りゆく。
最初の導入部からすっかり引き込まれてしまう。

何よりも主演の二人(ロマン・デュリス、ローナ・ハートナー)を上回る魅力を発揮するのがロマのイシドールだ。
酔っ払いであり、女好きでどうしようもない彼は、村の長老であり、ジプシーの楽団を率いるリーダーでもある。
そんな彼が、ロマ村の闖入者である主人公ステファンを気に入り、面倒を見るところから物語は展開していく。

ルーマニアの中でもロマの人々は差別される存在として描かれている。
非ロマであるルーマニア住民とは明らかに区別され、定住しないロマの村は常に非ロマの住民から賎視され、何かのきっかけで暴力的な攻撃にさらされる。

ロマの歌にあこがれてたどり着いたこの村で、歌と恋を謳歌していたのもつかの間、ロマの人々が生きる厳しい現実の前に自分の愚かさに呆然とするステファン。

ロマの血をひく母を持つトニー・ガトリフ監督が、主人公の中に自分の姿を見ているかのような作品だ。

これも是非映画館で見てみたい作品の一つだ。

 

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