近松物語(溝口健二監督)

1954年(昭和29)溝口健二監督作品。
近松門左衛門の戯曲、大経師昔暦(だいきょうじむかしごよみ)を脚本化。

ストーリは単純な構成で、大店の女房が手代の男と駆け落ち騒動を起こし最後には捕らえられてしまうというもの。
予想を裏切らないシンプルなストーリーは、現代の映画に慣れた我々には、少々単調に感じられるが、古典的な戯曲や芝居ものでは王道であり、逆にどんでん返しなどありえない、厳しい時代の中でこそ民衆に支持されるストリーとなっている。

今回は、ストリーミング配信で見たのだが、モノクロ映像の作品なので、小さな画面で見るには不向きで描かれた映像を十分に堪能することは難しい。
映画館の大画面で見れば、作品のもつ魅力をもっとダイレクトに堪能できるに違いない。

しいて言うなら、主演の長谷川和夫は恰幅が良すぎてとてもしがない職人風情には見えないし、主演女優の香川京子も、目鼻立ちが現代的過ぎて大店の女房には不向きである。


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