ダンサー イン ザ ダーク(dancer in the dark)

以前、地上波で放映されていた時に偶然に見て、驚愕した思い出のある映画です。

今回、デジタルリマスター版として再公開されたものを見てきました。

ストーリーはほぼ忘れていましたが、主演のビョークの特徴ある顔を見て徐々に思い出しました。

遺伝的な原因で失明の恐れのある息子の治療のために、チェコからアメリカに移民した親子(母親役がビョーク)が、苦労して働いて貯めたお金を隣人に盗まれ、取り返そうとしてその男を殺してしまい、判決の結果死刑になるというストーリーです。

物語は単純な内容ですが、ミュージカル仕立てになっており、要所要所でビョークの歌とダンスが入っており、シリアスな映画の内容に緩急を持たせています。

映画館で見て気が付いたのですが、カメラの映像がいかにもドキュメンタリー的な手法で構成されており、家庭用の八ミリカメラで撮ったようなカットが多用されていて、商業映画にはない臨場感を醸し出し、それゆえこの映画があたかも事実であるかのような錯覚を生み出しています。
主人公の妄想であるミュージカル部分と、シリアスな現実が対比され、うまく映像に魅力を生み出しています。

2000年のカンヌでパルムドールに輝いたというこの映画も、映画評では賛否が極端で、絞首刑のシーンで終わるラストシーンなど、暗すぎると受け入れられない人もいるようだが、エルマ(主人公の名前)が映画の中で歌うように、『これは最後の歌ではない』というメッセージに、厳しい現実の中でも、自分の選択を大切にして夢を見ることを恐れない抵抗の姿が現れており、それこそが希望であると感じさせてくれる良い映画であった。

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