生まれてはみたけれど(小津安二郎 無声映画)

昭和8年、1932年の作品である

小津映画の名声は名高いが、戦前に撮られた映画はあまり見る機会はないのではないだろうか。

私は、ストリーミングで見たが、youtubeなどでも見ることがでるようだ。

家族愛のテーマは小津らしいが、これは子供を中心とした社会をテーマにしており、たくさんの子供たちが登場するが、どの子も愛嬌があり素晴らしい。

このように、人の魅力を引き出す技術は小津の本領発揮というところか。

戦前の社会というと、もっと儒教的な忠君愛国的な社会像を想像しがちだが、ここに出てくる東京近郊の人々の姿は、戦後社会とそれほど違いがなく驚いた。
こんな社会が、数年後には戦争国家になってしまうのだと思うと驚きだ。

家族愛を丹念に描く画面の中で、大人の社会が持つきわどさを表して見せ、結果この子供たちも戦争に直面させられてしまう。
タイトルにも表れているように、そんなこの国の姿を予知的に切り取った作品であるともいえる。
まさに秀作である。


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