ストリーミング

早春 小津安二郎作品

小津映画を語る人には、なぜかあまり取り上げられない映画であり、その映画評を聞く機会もなぜか少ない。私は戦後の小津映画に度々登場する女優、淡島千景が好きである。淡島は、それまでの小津映画には、『麦秋』(1951)と『お茶漬けの味』(1952)に出演して…

宗像姉妹 1950年小津監督作品

この映画を以前から観たいと願っていたが、ストリーミングのコンテンツには見つけられず長い間お預け状態だったが別のサービスでようやく見ることができた。1950年と言えば、後年にいわゆる『紀子三部作』と言われる小津作品の代表作の最初の一作『晩春』が…

お茶漬けの味 1952年小津監督作品

俳優、佐分利信が好きだ。なぜだか自分でもその理由がはっきりわからないが、出演作品の中で見せる彼のたたずまいがとても印象的なのだ。小津作品の中でも多くの作品に出演しているが、その中でもこの作品や戦前の「戸田家の兄妹」など特にすばらしいと思う…

にっぽん泥棒物語 1965年山本薩男監督作品

以前からストリーミングのリストにあったのだが、なぜだか見逃していた作品。戦後直後の東北地方を舞台に泥棒稼業(蔵破り)で稼いでいた男(三國連太郎)が、保釈中に働いた泥棒稼業中に遭遇した列車転覆事故について、逮捕された元国鉄職員と獄中で出会い、そ…

赤線玉ノ井 ぬけられます 神代辰巳監督作品

タイトルがすでにこの映画の尋常ならざる雰囲気を伝えている。1974年の作品で、日活がロマンポルノ映画の製作に乗り出した71年以降の作品の一つである。映画は、昭和33年の売春防止法施行を目前にした色町(玉ノ井)の姿を追いそこで繰り広げられる女達の人間…

好人好日 渋谷実監督 1960年作品

映画タイトルのせいか、ストリーミングにあってもなかなか見ることのなかった作品であったが、思い切って見て観たらこれがすこぶる良い映画だった。渋谷実監督作品も初見であったため、あまり期待してはいなかったが、開始早々現れた東大寺大仏に話しかける…

戸田家の兄妹 小津映画

この映画は戦中の1941年に、日中戦争から帰還した後、小津監督により制作された。小津映画の中では、私自身とても好きな映画の一つである。この映画のストーリーは、戦後制作された小津映画の代表作とも言われる、東京物語ときわめて類似している。(もちろん…

秋刀魚の味 小津映画

小津安二郎監督が1963年の誕生日に60歳で亡くなったため遺作となってしまった映画だ。 公開は1962年(私の生まれた年だ)これまでストリーミングで多くの小津作品を観てきたが、なるべく初期作品から鑑賞したいと思い、つい最近初めてこの作品を観た。カラー作…

長屋紳士録

戦後、小津安二郎が戦地シンガポールからようやく戻れたのが昭和21年(1946)二月で、翌年44歳になった小津が二カ月で書き上げたのがこの映画の脚本であった。舞台は戦後直後の東京で、九段で親と離れ迷子となっていたという子供を、築地の長屋に連れ帰ったと…

オアシス(oasis) 韓国映画

この映画を観て初めて、イ・チャンドン監督のすばらしさを知った。この映画に最初に出てくるのは、真冬に半袖で平気そうに歩く変わった男である。男は、店先で勝手に売り物の豆腐を食べ始めるが、見かねた店主は「牛乳もどうだ」と渡すと、男は「テヘ牛乳は…

バーニング 韓国映画

2019年に公開された韓国映画で、村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を原作としている。イ・チャンドン監督作品「オアシス」を観て興味を持ちストリーミングで観た。原作を読んでないので全く白紙状態で観た。さえない引きこもりのような生活をする主人公ジョ…

近松物語(溝口健二監督)

1954年(昭和29)溝口健二監督作品。近松門左衛門の戯曲、大経師昔暦(だいきょうじむかしごよみ)を脚本化。ストーリは単純な構成で、大店の女房が手代の男と駆け落ち騒動を起こし最後には捕らえられてしまうというもの。予想を裏切らないシンプルなストーリ…

生まれてはみたけれど(小津安二郎 無声映画)

昭和8年、1932年の作品である小津映画の名声は名高いが、戦前に撮られた映画はあまり見る機会はないのではないだろうか。私は、ストリーミングで見たが、youtubeなどでも見ることがでるようだ。家族愛のテーマは小津らしいが、これは子供を中心とした社会を…